戸建て住宅の購入を検討する際、つい予算だけで「新築戸建」か「中古戸建」かを決めがちです。しかし戸建は、土地の条件・建物の状態・将来の修繕コスト・法規制の影響が大きく、予算以外のチェックが満足度を左右します。
ここでは「戸建ならでは」のポイントを中心に、新築と中古の違いを整理しながら、比較の考え方をまとめます。
ポイント 1.土地の状態(戸建は「土地が主役」になりやすい)
土地なくして家は建ちません。戸建の場合、建物はリフォームや建替えで更新できても、土地の条件(法規制・接道・災害リスク・境界など)は変えにくいのが特徴です。
特に中古戸建では、「今は住める」けれど「将来の建替えが難しい/費用が読みにくい」土地条件が混ざることがあるため、最初に土地を丁寧に確認するのが安全です。
※接道義務(基本)
建築基準法では、原則として建築物の敷地が「建築基準法上の道路」に2m以上接している必要があります。接道を満たさない場合、建替えや増改築に制限がかかることがあるため注意が必要です。
なお、自治体の条例や建物用途・規模により、追加の条件が課されるケースもあります(詳細は役所・指定確認検査機関等で確認すると確実です)。
※セットバック
前面道路の幅が4m未満で、いわゆる「2項道路(建築基準法42条2項道路)」等に該当する場合、建替え等の際に道路幅を確保するため、敷地を後退(セットバック)する必要が生じることがあります。セットバック部分は将来の道路として扱われ、実質的に「使える敷地面積」が減るため、建物計画や資産性にも影響します。
ただし、都心部・既成市街地では、すべての条件が整った土地だけを選ぶのは難しいのが現実です。例えば、敷地延長(旗竿地)でも、延長部分をアプローチや自転車置場、子どもの遊びスペースとして活用できる場合があります。土地の形状が個性的なことで、プランの自由度が上がるケースもあります。
大切なのは「自分たちの価値観・ライフスタイルに合う土地か」「将来の建替えや増改築の見通しが立つ土地か」を、冷静に見極めることです。
戸建住宅を検討するうえでチェックしたい土地のポイント
・立地(駅距離、生活利便、周辺環境)
・災害リスク(ハザードマップ:洪水・内水・土砂・津波等、避難経路)
・敷地面積/形状(敷地延長・不整形地など)
・方位/日当たり・採光・通風(周辺建物の影響も含む)
・前面道路の種類・幅員、私道負担の有無、接道状況(建築基準法上の道路か)
・高低差、擁壁、造成・地盤、排水(将来の補修コストも)
・用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限、斜線制限など
・境界(確定測量の有無)、越境、隣地との関係(将来トラブルになりやすい)

ポイント 2.価格&コスト(購入額+将来費用+税制まで)
戸建は「古いほど安い」傾向はありますが、マンションほど単純に価格が下がるとは限りません。理由は、戸建価格の中で土地(償却されにくい資産)の比率が高いためです。土地条件が良い物件は中古でも高価格になりやすく、逆に土地条件に難があると価格が抑えられる傾向があります。
また、中古戸建はリフォーム・修繕が必要になるケースが多いため、購入価格だけでなく「総額」で考えることが重要です。新築戸建でも、10年〜15年程度で外壁・屋根・設備などにメンテナンスが必要になることが一般的なので、将来の修繕費を見込んで資金計画を立てるのがおすすめです。
戸建で見落としやすいコスト
・仲介手数料、登記費用、火災保険・地震保険、ローン諸費用
・固定資産税・都市計画税(毎年)
・外壁/屋根/防水、給湯器、水回り、シロアリ対策などの修繕費
・外構(駐車場、フェンス、庭、擁壁等)の補修費
・古家付き土地の場合:解体費用、地中埋設物の撤去など
なお住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、新築だけでなく中古住宅でも、一定の要件を満たせば対象になり得ます。ただし入居年や住宅の区分(認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合など)によって控除の扱いが分かれ、条件次第では対象外となる場合もあります。購入前に「入居予定年」「物件の性能区分」「床面積」「所得」等を踏まえ、金融機関・税務署・税理士等に確認すると安心です。
さらに、2025年4月以降は、すべての新築住宅で省エネ基準への適合が求められる流れとなり、戸建選びでも「断熱・省エネ性能」を比較軸に入れる重要性が増しています(光熱費・快適性・将来の資産性にも関係します)。

ポイント3.建物の状況(耐震・劣化・書類の整合性)
新築戸建は、現行の基準に基づいた構造・最新設備で建てられているのが一般的です。一方で中古戸建は、建築時期によって耐震基準や断熱性能、設備水準が大きく異なるため、まずは「いつ建てられた家か」「どの基準で建てられているか」を確認することが大切です。
木造戸建はマンションに比べて経年劣化(雨漏り、腐朽、シロアリ、設備の老朽化等)が表面化しやすい傾向があります。内覧時は見た目だけで判断せず、必要に応じて建物状況調査(インスペクション)など第三者チェックを活用すると安心材料になります。
ただし、戸建はマンションに比べてリフォームや増改築の自由度が高く、古い家を自分好みに整えて住む楽しさもあります。「古い=避ける」ではなく、状態とコスト、法規制を整理して判断することがポイントです。
「新築」「中古」の表示上の考え方(目安)
・「新築」と表示できるのは一般に「建築後1年未満で、未入居」のものに限られます。
・建築後1年以上の未入居物件は「未入居」等として扱われるのが一般的です。
※実務上の扱いは、広告・表示ルールに沿って確認しましょう。
戸建住宅を検討するうえでチェックしたい建物のポイント
・耐震性(建築時期、耐震補強の有無)
・雨漏り跡、屋根・外壁・バルコニーの防水状態
・床の傾き、建具の建付け、基礎・外壁のひび割れの状況
・シロアリ、腐朽、カビ、結露(特に水回り・北側)
・断熱・窓性能(快適性、光熱費、結露)
・給湯器、配管、電気容量など設備更新の必要性
・防犯性(窓・鍵・死角・外構)
・リフォームのしやすさ(間取り変更、増築、配管更新の難易度)
・書類(建築確認済証・検査済証、図面、増改築履歴など)
中古戸建を内覧する際に、特に気をつけたいポイント
・居住中の場合は、家具の裏のカビ・結露跡など見えにくい部分も確認
・引渡し後の不具合対応(契約不適合責任の範囲・期間、設備保証の有無)を事前に確認
・過去の増改築が適法か(建ぺい率・容積率オーバー、越境、未登記部分など)
・再建築や大規模リフォームの制限がないか(接道、セットバック、用途地域等)
建ぺい率・容積率オーバーなどの「違反建築」や、接道条件に課題がある土地は、金融機関の審査や将来の売却時に影響することがあります。図面と現況が一致しているか、必要に応じて専門家や行政窓口で確認し、「後から困る種」をできるだけ減らしてから購入判断をするのがおすすめです。
まとめ
新築戸建に比べると、中古戸建は確認すべきポイントが多く感じられるかもしれません。ただし戸建選びでは、新築・中古の二択よりも「土地条件」「建物状態」「総コスト」「将来の計画(建替え・売却・住み替え)」を整理して判断することが満足度につながります。
また、近年は省エネ性能の重要性が高まり、新築・中古を問わず「断熱・設備・光熱費」の視点も欠かせません。先入観にとらわれず、譲れない条件と優先順位を決めたうえで、納得できる住まいを選びましょう。
新築のメリット
・最新基準・設備での計画(省エネ性能も比較しやすい)
・初期不具合が少ない傾向、保証制度が整っているケースが多い
・入居後しばらく大きな修繕が発生しにくい傾向
中古のメリット
・同条件なら新築より取得価格を抑えられる可能性
・立地や土地条件の選択肢が広がりやすい
・リフォームで自分好みに整えやすい(自由度が高い)
・土地の比率が高い物件は、条件次第で資産性が安定しやすい場合も
