戸建の家づくりでは、火事や地震・台風などの災害リスクを踏まえ、「どんな工法(構造)を選ぶか」は重要な検討ポイントです。
 ただし、耐震性や耐火性は工法だけで決まるものではなく、設計(壁量・バランス・接合部の仕様等)と施工品質、地盤・基礎計画、メンテナンスまで含めて総合的に左右されます。
 ここでは戸建でよく採用される代表的な3つの工法(構造)を、特徴と注意点を中心に紹介します。(参考:耐震構造制震構造免震構造 比較)

木造在来工法(木造軸組工法)

 日本の戸建で広く普及している伝統的な工法です。柱・梁などで骨組み(軸組)をつくり、筋かい耐力壁・接合金物などで地震や風の力(横からの力)に抵抗します。
 現在の木造住宅は、1981年の「新耐震」だけでなく、特に木造の仕様が明確化された2000年以降の基準(いわゆる2000年基準)の考え方が重要で、地盤に応じた基礎、接合部の金物、耐力壁配置のバランスなどが耐震性に大きく影響します。

メリット
・間取り、外観(屋根形状や開口計画など)の自由度が比較的高い
・増改築・リフォームの選択肢が比較的広い(建物条件による)
・対応できる工務店・施工者が多い傾向
・建物が比較的軽く、地盤条件によっては基礎・地盤補強の負担が小さくなる場合がある

デメリット(注意点)
・耐震性は「設計バランス」と「施工品質」による影響が大きく、同じ軸組でも差が出やすい
・防火性能は仕様・地域規制(防火地域等)で必要な対策が変わる
・湿気・シロアリ等の劣化対策(防湿・換気・防蟻・雨仕舞)が重要
・構造材・金物・耐力壁の仕様で性能差が出る(“木だから弱い”と一概には言えない)

木造在来工法(木造軸組工法)のイメージ

ツーバイフォー(2×4)工法(枠組壁工法)

 北米発祥の工法で、規格化された木材(2×4材など)で「枠」をつくり、構造用面材を用いて床・壁・屋根をで一体化させ、箱型(六面体)として支えるのが特徴です。地震や風の力を建物全体に分散させる考え方で、枠組壁工法の技術基準は建築基準法に基づき整備されています。
 また、ツーバイフォーは木造でも、仕様により国土交通大臣認定の耐火構造が可能となり、防火地域等での適用範囲が広がった経緯があります。

メリット
・耐震・耐風は「面」で受ける設計思想で、設計ルールに沿えば安定した性能を狙いやすい
・気密・断熱を計画しやすく、仕様次第で省エネ性・快適性を高めやすい
・規格化・パネル化により、工期や品質のばらつきを抑えやすい傾向

デメリット(注意点)
・壁が構造要素になりやすく、開口(大開口・連続窓など)や大きな間取り変更は制約が出る場合がある
・気密が高いぶん、断熱・防湿・換気の設計施工が不十分だと結露リスクが出る(工法の弱点というより計画・施工の問題)
・増改築・リフォームは「できない」ではないが、構造を理解した計画が必要になりやすい
・制震装置(ダンパー等)は採用できるケースが多いものの、商品・設計条件によって向き不向きがあるため要確認

ツーバイフォー(枠組壁工法)のイメージ

鉄筋コンクリート造(RC造)

 鉄筋で骨組みを組み、型枠を建ててコンクリートを打設して一体化させる構造です。耐久性・耐火性・遮音性などの面で評価されやすい一方、建物重量が大きくなるため、地盤・基礎計画の重要度が増し、コストや工期にも影響しやすい傾向があります。
 構造形式としては、柱と梁で骨組みをつくる「ラーメン構造」と、壁そのものが主要な耐力要素となる「壁式構造」などがあり、設計自由度やコストに違いが出ます。

ラーメン構造(例)
・間取り(スパン)の自由度が比較的高い傾向
・開口計画の自由度も比較的確保しやすい
・柱や梁型が室内に出る場合がある
・構造計画によって工費が大きく変動

※壁式構造(例)
・柱梁型が出にくく、すっきりした室内になりやすい
・ただし壁位置が構造に直結し、間取り変更や開口に制約が出やすい

メリット
・耐火性、遮音性で有利になりやすい
・耐久性が高く、劣化しにくい仕様を取りやすい(設計・施工・維持管理が前提)
・構造計画次第で耐震性を高い水準で確保しやすい

デメリット(注意点)
・工費が高くなりやすい/工期が長くなりやすい(養生期間などの影響)
・重量が大きく、地盤・基礎・擁壁等の計画負担が増える場合がある
・設備更新や間取り変更などのリフォームは難易度が上がりやすい(内容による)

鉄筋コンクリート造(RC造)のイメージ

まとめ(「基準年」と「工法以外の差」が重要)

 どの工法にもメリット・デメリットがありますが、安全性の見方としては「工法名」だけでなく、①いつの基準で建てられたか②設計と施工が適切か③地盤・基礎計画が妥当かが重要です。
 特に木造では、1981年の新耐震に加えて、接合部金物や壁配置バランスなどがより明確になった2000年以降(いわゆる2000年基準)が大きな目安になります。国土交通省等が取りまとめた熊本地震の分析でも、建築時期によって被害傾向に差が見られる旨が示されています。

 また、「建築基準法を満たしている=無被害」という意味ではなく、基準は主に倒壊・崩壊を防ぎ人命を守ることを重視した考え方です。より建物の損傷を抑えたい場合は、耐震等級(等級2・3)を含む設計目標や、制震(ダンパー)などの採用を検討すると判断材料が増えます。

 免震(基礎部分などに免震層を設け、揺れを建物に伝えにくくする考え方)は、工法を問わず採用できる可能性はありますが、敷地条件・建物計画・商品によって可否や費用が大きく変わります。具体検討の段階では、ハウスメーカー・設計者に「採用可否」「概算費用」「維持管理(点検・交換)」までセットで確認するのがおすすめです。

 最終的には、「費用」「間取りの自由度」「工期」「将来のリフォーム」「省エネ性能(断熱・気密・換気)」など、優先順位を決めて選ぶことが納得につながります。土地の状況によっては採用しにくい構造もあるため、早めに相談して方向性を固めましょう。

  費用(目安) 工期(目安) 耐震性・耐風性 耐火性 増改築・リフォーム 間取りの自由度
木造在来工法(木造軸組工法) ○〜◎ △〜○ ○(設計・施工で差) △〜○(仕様・地域規制で変動)
2×4工法(枠組壁工法 ○〜◎ ○〜◎ ○〜◎ ○(耐火仕様も可能) △〜○
RC造(鉄筋コンクリート造) × × ◎(設計条件による) △〜○(構造形式による)
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