マイホームを購入するときは、迷うポイントがたくさんあります。マンションと戸建で迷い、マンション購入の結論が出た後でも次に「新築マンション」と「中古マンション」のどちらにするかで悩む方は少なくありません。
そこで本記事では、新築マンションと中古マンションを、主に「構造・設備」と「コスト(初期費用+維持費+将来費用)」の観点で比較します。
まず押さえたい:2024〜2025年は「省エネ表示」と「省エネ要件」が強化
近年は「耐震」だけでなく、省エネ性能も購入判断の重要要素になっています。
具体的には、2024年4月から、販売・賃貸の広告等で省エネ性能ラベルを表示する制度が始まり、特に新築は広告での表示が強く求められる流れになりました。また、住宅ローン減税は、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅について、原則として省エネ基準に適合しないと適用できない点に注意が必要です。
さらに、2025年4月からは原則としてすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されます。新築マンションは今後ますます「省エネの説明・証明がある前提」になり、中古マンションは「現況の性能」と「改修でどこまで上げられるか(特に窓・給湯・断熱)」が比較ポイントになっていきます。
構造・設備
マンションの構造・設備は時代とともに進歩してきましたが、実際には“築年数だけで一律に判断できない”のがポイントです。同じ築年でも、分譲会社・設計思想・グレードで差が出ます。中古を検討する場合は、リフォームで変えられる部分/変えにくい部分を分けて考えると失敗しにくくなります。
耐震性【「築年数」より“新旧耐震の判定基準”が重要】
いわゆる「新耐震・旧耐震」は、ざっくり築年数で語られがちですが、正確には1981年6月1日を境に、建築確認の時期で変わります。
・1981年5月31日以前に建築確認:旧耐震となる可能性
・1981年6月1日以降に建築確認:新耐震の範囲
販売図面の「築年(登記上の建築年月)」だけでは判定がズレることもあるため、気になる場合は確認済証・検査済証等での確認が安心です。
なお、新耐震でも“無傷”を保証するものではありません。共用部を含む建物全体の維持管理(大規模修繕、配管更新等)も合わせて確認しましょう。
※リフォームでは「耐震基準の時代」を丸ごと入れ替えることはできません(耐震補強の可否・範囲は管理組合の合意や工法によります)。
省エネ性能【新築は“表示・説明”が前提/中古は“現況+改修余地”で比較】
新築マンションは、省エネ性能ラベル等を含めて性能情報が提示されることが増えています。一方で中古マンションは、築年や資料の残り方によっては省エネ性能が把握しにくいこともあります。
比較のコツは、①窓(サッシ・ガラス)、②給湯、③換気、④断熱(外壁側)を中心に、「今どうか」と「どこまで変えられるか」を確認することです。特に窓は共用部扱いになることが多く、住戸単独で自由に交換できない場合があります。
室内構造(例)【リフォームで“できること/できないこと”がある】
中古マンションでも、内装・設備は更新しやすい一方で、次のような部分は物件条件や管理規約で制約が出ます。
・PS(パイプスペース)や排水の勾配により、水まわりの位置変更が難しい/費用がかさむことがある
・床材の変更(カーペット⇔フローリング等)は、遮音等級や管理規約で制限があることがある
・窓・玄関扉など共用部扱いの部材は、原則として個別に勝手な交換ができない
室内設備【後付けしにくい設備もある】
キッチン・浴室・トイレなどは更新しやすい反面、物件によっては次のように“後から入れにくい”設備があります。
・ディスポーザー(導入には住棟側の設備・配管が絡む)
・床暖房(方式・下地条件による)
・24時間換気の方式やダクト経路 など
設備更新の目安は一律ではありませんが、築年が進むほど「更新したい箇所が同時期に来る」ため、購入価格+リフォーム費+当面の修繕積立金(将来増額含む)までをセットで見積もるのが安全です。

コスト(初期費用+維持費+将来費用)
新築と中古で単純に「物件価格」だけを見ると、中古の方が安いケースが多い一方、人気立地や希少性の高い中古は、新築時より高い価格で取引されることもあります。大切なのは、①購入時の初期費用、②毎月の固定費(管理費・修繕積立金等)、③将来の大きな支出(大規模修繕・積立金増額・専有部リフォーム)まで含めて比較することです。
物件価格【“築○年なら安い”と決め打ちしない】
中古は「新築プレミアム(新しさ・販売経費等)」が乗りにくいため、同条件比較では割安になりやすい傾向があります。
一方で、駅近・眺望・ブランド・管理状態が良いなど条件が揃う中古は強く、価格が下がりにくい(または上がる)場合もあります。価格だけでなく、管理状況(長期修繕計画・積立金水準・滞納状況等)も資産性に直結します。
諸費用【“新築は安い/中古は高い”は概ね合っているが、内訳で確認】
購入時の諸費用は、物件条件・ローン条件・売買形態(売主直売か仲介か)で変わります。
一般的に、中古(仲介)の場合は仲介手数料がかかる分、諸費用が増えやすい傾向があります。一方で新築でも、修繕積立基金や管理準備金などの一時金がかかることがあります。
どちらでも共通して、印紙、登記費用、ローン関係費用、火災保険、固定資産税等の精算などが発生します。
住宅ローン減税【新築は“省エネ要件”に注意/中古は“耐震”の確認が重要】
2024年以降の制度では、新築は省エネ基準適合等の要件がより重要です(建築確認の時期によって取扱いが変わるため、販売会社・金融機関・税務で要確認)。
中古は物件条件により、耐震基準適合等の確認がポイントになるため、「新耐震か」「証明書の要否」も含めて早めに確認すると安心です。
リフォーム費【中古の“見落としコスト”になりやすい】
中古では、購入後すぐにリフォームをするケースも多いです。費用は内容で大きく変わるため一律の金額は言えませんが、水まわり更新・内装一新・配線/給排水更新など、希望を足していくと想定より膨らみやすい点に注意しましょう。
また、マンションは管理規約や工事申請のルールがあるため、「できる工事/できない工事」も事前確認が重要です。
管理費・修繕積立金【将来“上がる前提”で見る】
新築は当初の修繕積立金が低く設定され、将来増額する設計(段階増額)になっていることもあります。中古はすでに増額済みの場合もありますが、築年が進むほど大規模修繕・設備更新が現実味を帯びます。
購入前に、長期修繕計画の有無、積立金残高、滞納状況、直近の大規模修繕履歴、今後の予定を確認しておくと、入居後の“想定外の負担”を減らせます。

まとめ
中古マンションは、立地の選択肢が広く、リフォームで室内を自分好みに整えやすい一方で、建物全体(共用部)の状態や将来費用を見誤ると負担が大きくなりがちです。新築マンションは、最新の基準・設備・省エネ性能の情報が得やすい一方で、価格やランニングコスト(管理費・積立金設計)を丁寧に見ないと、総額が想定以上になることもあります。
結局のところ、「新築=高い」「中古=安い」と決めつけず、購入価格+初期費用+維持費+将来費用(修繕・増額・リフォーム)を合算した“総額”で判断することが肝要です。
新築のメリット(例)
・省エネ性能など、性能情報が提示されやすい
・設備が新しく、当面の専有部修理リスクが小さめ
・売主直売なら仲介手数料が不要な場合がある
中古のメリット(例)
・立地・広さの選択肢が多い(予算内で条件を上げやすい)
・リフォームで好みに寄せられる
・管理状態が良い物件は、資産性が安定しやすいことがある
最後に:中古購入で“1つだけ”優先するなら
中古はまず、管理状況(長期修繕計画・積立金・修繕履歴)を最優先で確認するのがおすすめです。室内は直せても、建物全体の問題は簡単に直せないためです。