マイホーム購入時、「住宅ローンは固定金利がいいのか、変動金利がいいのか」で悩む方はとても多いです。結論から言うと、どちらが必ずトクかは家計・借入額・返済期間・金利上昇への耐性によって変わるため、一概に決められません。
ただし近年は金利環境が動いており、以前よりも「金利が上がる可能性」を現実的に織り込んだ選び方が重要になっています。ここでは、固定金利・変動金利それぞれの仕組みと注意点、比較のコツを整理します。
固定金利型(全期間固定/固定期間選択)
固定金利型は、一定期間または返済終了まで金利が固定され、返済額の見通しを立てやすいのが最大の特徴です。大きく分けて次の2種類があります。
(1)全期間固定金利タイプ
借入時に金利が確定し、完済まで変わりません。代表例として「フラット35」などがあります。
将来の金利上昇で返済額が増える不安を避けたい方に向いています(※ただし、変動金利より当初金利が高めになりやすい傾向はあります)。
(2)固定期間選択タイプ(例:2年・3年・5年・10年固定など)
選んだ固定期間中は金利が固定されますが、期間終了後は「再度固定を選ぶ」「変動へ移る」など、契約内容に沿って金利が見直されます。
固定の安心と、当初の金利水準のバランスを取りたい場合の選択肢です。
固定金利の特徴(整理)
・返済額のブレが小さく、家計管理がしやすい(教育費・老後など見通しを立てやすい)
・金利が上がっても返済額が増えない(リスクを先に固められる)
・一方で、当初金利は変動より高めになりやすく、金利が下がった場合の恩恵は受けにくい

変動金利型
変動金利型は、市場金利の動き等に応じて、金利が定期的に見直されるタイプです。一般的に、固定金利より当初金利が低めに設定されやすく、低金利の局面では返済負担を抑えやすい反面、将来金利が上がると返済負担が増える可能性があります。
また、変動金利を理解するうえで重要なのが「金利の見直し」と「返済額の見直し」が同じタイミングとは限らない点です。金融機関・商品によってルールが異なりますが、金利は定期的に見直され、返済額は一定期間ごとに見直す設計になっていることがあります。
よくあるルール(例):「5年ルール」「125%ルール」
多くの金融機関では、変動金利(元利均等返済)の場合、
・金利が変わっても、返済額の変更は一定期間(例:5年ごと)
・返済額を見直す際も、前回返済額の125%を上限とする
といった設計が採用されていることがあります。
重要な注意点
この仕組みは「返済額の急増を抑える」ためのものですが、利息そのものを抑える制度ではありません。金利が上がる局面では、返済額の内訳が利息中心になり元金が減りにくくなったり、条件によっては未払利息が生じ、最終回に残額が増える(最終回にまとまって支払う必要が出る)可能性もあります。
また、返済方法(元金均等か元利均等か)によって、上記ルールが適用されない商品もあります。契約前に必ず確認しましょう。
変動金利の特徴(整理)
・当初金利が低めで、返済開始直後の負担を抑えやすい
・繰上返済などで早めに元金を減らせると、利息総額を抑えやすい
・一方で、金利上昇時に利息負担が増え、家計への影響が大きくなることがある
変動金利を選ぶ場合は、「上がった場合でも払えるか」(家計余力)を前提に、固定へ切替できる条件・手数料、繰上返済の方針などをセットで考えるのがおすすめです。

具体的にシミュレーションして比較しよう(考え方の例)
金利タイプは「気持ち」だけで決めるより、同じ借入額・同じ返済期間で試算して、家計に合うかを確認するのが確実です。ここでは考え方の例として、借入金額3,000万円・返済年数35年・元利均等返済で比較します(※金利は仮定。実際の適用金利は金融機関・審査・借入条件で異なります)。
(参考)全期間固定:年2.00%(仮)
月々の返済額:約99,400円
返済総額:約4,173.9万円
総支払利息:約1,173.9万円
(参考)フラット35(2025年12月時点の最頻金利の一例):年1.97%
月々の返済額:約98,900円
返済総額:約4,154.5万円
総支払利息:約1,154.5万円
※フラット35は金利水準・条件(借入期間、融資率、団信等)で幅があります。
(参考)変動:当初 年0.60% → 段階的に上昇(仮)
(ケースA:緩やかに上昇する想定:0.60%→1.10%→1.60%→2.10%)
返済総額:約3,799.6万円/総支払利息:約799.6万円
月々返済額の目安:
・1〜5年目:約79,200円
・6〜10年目:約85,100円
・11〜15年目:約90,300円
・16年目以降:約94,700円
(ケースB:上昇が大きい想定:0.60%→1.60%→2.60%→3.60%)
返済総額:約4,325.0万円/総支払利息:約1,325.0万円
月々返済額の目安:
・1〜5年目:約79,200円
・6〜10年目:約91,300円
・11〜15年目:約102,400円
・16年目以降:約112,000円
このように、変動金利は「上がり方」で総支払利息が大きく変わります。なお、実際の商品では「5年ルール・125%ルール」等により返済額の動きがこの試算と一致しない場合があります(ただし、ルールがあっても利息が増えるリスク自体が消えるわけではありません)。
不安がある場合は「固定(全期間固定または長めの固定期間)」や「固定+変動のミックス」も含めて、家計の安全度を優先して検討しましょう。
まとめ(選び方の目安)
固定金利・変動金利は、どちらが正解というより「リスクの取り方」の違いです。将来の金利が読みにくいからこそ、家計の方針に合うタイプを選び、必要ならミックスして調整するのが現実的です。
全期間固定金利タイプに向いている人(例)
・金利上昇で返済額が増える不安をできるだけ避けたい
・教育費や介護など、将来の支出増が見込まれている
・家計の余力が大きくなく、返済額の上振れに耐えにくい
固定期間選択・変動金利に向いている人(例)
・返済余力があり、金利上昇時にも家計が崩れにくい
・繰上返済を計画しており、早めに元金を減らせる
・金利動向を定期的にチェックし、必要なら固定へ切替える運用ができる
| 当初金利の出やすさ | 返済額のブレ | 金利上昇リスク | 金利低下時のメリット | 金利動向チェック | |
| 全期間固定 (例:フラット35等) |
高めになりやすい | 小さい | 小さい | 小さい | 少なめでOK |
| 固定期間選択 | 中間になりやすい | 中(固定終了後に変動) | 中 | 中 | 中 |
| 変動金利 | 低めになりやすい | 大きい可能性 | 大きい | 大きい | 多い |