建売住宅を買った方がよいのか、それとも土地を購入してハウスメーカー(工務店)を選び、注文住宅を建てた方がよいのか――多くの方が悩まれるポイントです。
実はこの2つ、同じ「総額5,000万円(土地:3,500万円/建物:1,500万円)」の新築戸建でも、主に「支払いのタイミング」と「資金計画の組みやすさ」に差が出ます。さらに近年は、金融機関のローン商品(分割融資・土地先行融資・つなぎ融資等)が増え、“土地→建物”の順でも自己資金負担を抑えられる選択肢が広がっています。
同じ総額でも「支払い時期」と「必要な現金」が違う
新築戸建の買い方は、大きく次の2つに分けられます。
1. 建売(完成済み・未完成を含む)/売建を購入
2. 土地を購入し、メーカーを自分で探して注文住宅を建てる
どちらが正解という話ではありませんが、資金繰り(いつ、いくら現金が必要か)は、買い方で大きく変わります。
1. 建売・売建:支払い先がまとまりやすく、段取りがシンプル
「建売(完成済み)」は一般的に、売主(または売主側のスキーム)が土地と建物をまとめて提供するため、買主の支払いは「契約時の手付金」+「引渡し(最終決済)時の残代金」という流れになりやすいのが特徴です。
契約時の手付金は物件や契約条件で変わりますが、実務上は売買代金の5〜10%程度が目安として扱われることが多く、宅建業者が売主の取引では手付金の上限(代金の2割)も法令上定めがあります。
このタイプは、「引渡しまで大きな支払いが発生しにくい」ため、自己資金計画が立てやすい傾向があります(※未完成の売建・売主条件によっては中間金がある場合もあります)。

2. 土地+注文住宅:支払い回数が増えやすいが、ローンで平準化できる場合も
「土地を買って注文住宅」の場合、土地の売主と建物(工事)の請負会社が別になるのが一般的です。そのため支払いも、
土地:売買契約(手付)→ 決済(残代金)
建物:工事請負契約(契約金)→ 着工金 → 中間金(上棟時など)→ 完成(残金)
のように、複数回に分かれやすいのが特徴です。結果として、「いつまでに、いくら現金が必要か」を早い段階で詰めないと、途中で資金が詰まるリスクが出ます。
ただし近年は、金融機関によって
- 分割融資(分割実行):住宅ローンを完成前から段階的に実行
- 土地先行融資:土地代を住宅ローン枠で先に実行
- つなぎ融資:完成までの一時的な資金を借りる(住宅ローンとは別枠になることが多い)
といった選択肢もあり、自己資金の山を小さくできるケースがあります。どれが使えるか・総費用がどう変わるかは金融機関と案件条件で変わるため、土地契約前(できれば購入申込の前)に、銀行へ確認しておくのが安全です。

「金額の有利・不利」は、総額だけでなく“見えにくい費用”で逆転する
「建売の方が得」「注文住宅の方が得」と言い切れない理由は、総額以外に次の差が出るためです。
- 注文住宅:自由度が高い一方、仕様追加・外構・地盤・照明/カーテン等で増額しやすい
- 建売:段取りは早い一方、間取りや仕様の自由度は限定されやすい(=後から手直し費用が出ることも)
- 資金面:つなぎ融資は金利・手数料が別にかかることがあり、工期が延びると利息も増えやすい
そのため、判断は「建売/注文」というラベルより、①支払いスケジュール ②ローンの種類 ③追加費用が出るポイント ④完成後の暮らし(動線・駐車・収納・断熱等)まで含めて比較するのが現実的です。
結論:迷ったら「資金繰りの安全性」と「暮らしの優先順位」で決める
もちろんどのような物件を選ぶかはお客様のご判断によりますが、
- 資金繰りをシンプルにしたい/入居時期を早めたい → 建売(完成済み中心)を軸に検討
- 間取り・性能・駐車計画などを最適化したい → 土地+注文住宅を軸に検討(ローンの分割実行等を早めに確認)
という考え方が、失敗しにくい整理です。どちらの場合も、契約前に「いつ・いくら必要か」を表にして、銀行(ローン担当)と不動産会社で一緒にすり合わせることをおすすめします。
※本記事は一般的な考え方の整理です。実際の支払い時期・金額・融資可否は、売買契約/工事請負契約/金融機関条件により異なります。